資金繰り
会社の資金繰りが苦しくなったら、何をすべきでしょうか?
「銀行の担当者に電話して、追加融資を申し込む」
そう、会社の決算書を持って、銀行に駆け込むことです。
銀行であれば結論も早く、融資までの時間も短いでしょう。
でも、融資を断られたら、どうしますか?
或いはかなりの確率で融資が断られると分かっているならば、行くだけ時間の無駄です。
そのとき、
- 取引先に、支払い期限を延期してもらう
- 高金利の事業ローンを申し込む
- 給料、賃料、税金の支払いを遅らせることにする
と考えた人がいたら、それは間違いです。
取引先、社員、大家への支払いを遅らせることは、問題の先延ばしにすぎず、何の問題解決にもなりません。
しかも、翌月には、2か月分の支払いが待っているのでもっと苦しくなります。
資金繰りが苦しい情報は、必ず周りに漏れるので悪い風評も起こります。
また、高い金利の業者からお金を借りることは、利息が多くなることはもちろん、返済のためにまた借りる...と、雪だるま式に残高が増える可能性が大で、再生への道は遠くなります。
では、何をやるべきだと思いますか?
「キャッシュを生み出す事業」を守り、企業再生の道筋を作り実行する
これが正しい答えなのです。
では、キャッシュを生み出す事業とは?
会社の主な決算書は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つを指します。
このキャッシュフロー計算書では
- 営業キャッシュフロー(事業そのものの採算に関する資金収支)
- 投資キャッシュフロー(設備投資などに関する資金収支)
- 財務キャッシュフロー(借入など資金調達に関する資金収支)
を集計しています。
とにかく、今までキャッシュフロー計算書を見たことがない人でも、普通は決算書に添付されているので、安心してください。
そこには、営業キャッシュフローの項目が、必ずあります。
見ましたか? それは、プラスになっていますか?
えっ、キャッシュフロー計算書を作っていない?
会社全体のキャッシュフロー計算書はあっても、事業ごとのキャッシュフロー計算書はないかもしれません。
でも、2期分の貸借対照表と損益計算書があればすぐに作れます。
顧問の会計事務所に頼んでもよいでしょう。
取引記録を正しく入力していれば、会計ソフトのボタンをクリックすればすぐに作成できます。
それで、営業キャッシュフローがプラスの事業があるならば、交渉は十分に可能です。
なぜならば、営業キャッシュフローがプラスということは、その事業が儲かっている証拠ですから、一時的に資金繰りが苦しくても、話せば分かってくれる可能性がとても高いです。
この営業キャッシュフローを武器にしてください。
あなたの会社は十分に存続できます。
ただ、注意してください。
資金繰りが苦しくなった会社が、一度でも意思決定を間違えると、それは命取りになるということです。
営業キャッシュフローがプラスの事業があっても、会社が潰れたら一緒に消滅してしまいます。
とにかく、方針を決定し、必要な手続を、どのタイミングで、どの順番で行うべきか、正確かつ迅速に決める必要があります。
たった少しの相談で、今まで悩んでいたことが整理できます。
最後に、1つだけ頭に入れてください。
資金繰りが詰まって、社長が銀行などを回り始めると、会社の業務に専念できなくなります。
その動きは黙っていても、社員に気づかれて仕事への士気は下がるでしょう。
指揮をする社長もそれを支える社員もいなくなれば、営業キャッシュフローを生み出していた事業が急速に陳腐化してしまいます。
それが、さらに資金繰りを悪化させ、復活への道筋を閉ざしてしまうのです。
「もっと早く決断していれば・・・・」と多くの経営者は後悔しています。
事業がまだ生きているうちに、資金繰り正常化のスキームを作って実行しましょう。
仕組みを作っても、手遅れでは意味がありません。